PRIDE 出逢い系サイト 凛華子の場合 【ネット小説】
凛華子は職場で、出会い系サイトのことで相談を受けていたことがあるのを思い出した。
それは、「出会い系サイトで知り合った子と真剣に付き合っても大丈夫ですかね」ということだった。
相談してきたのは、21歳の男性で
相手は20歳の子というものだった。
彼は【彼女が欲しい】ということだけだった・・・最初のうちは。
逢う日や一緒にいる時間が長くなるにつれて
本気で彼女を好きになったみたいだ。
【出逢い系サイト】をよく知らないし
そもそも人を好きになる感覚がよく分からなくなっている。
恋愛もしていない。
なんて答えてあげればいいか分からなかったけれど
唯一分かるのは【好きな気持ちは大切にするべきだ】ということ。
「信じる信じないは相手だけれど、自分の気持ちは信じていいだろうし、大切にしなきゃ。」凛華子はそれだけを彼に伝えていた。
今、その自分が【出会い系サイト】を検索している。
なんだか笑える。
専ら、出会い系サイトを否定しているわけでもないし、ここから出逢いなんてあるわけない、とさえ思った。
ズラリと名前と年齢が並ぶ。
写メまである人がいることに驚いた。コメントもある。
(こんなのなんだ)思わず、一覧を眺めてしまった。
どんな人たちがいるんだろって思ったけれど
(これ見てどう思う人がいるんだろって思う人もいる)ってことだよね、と思う。
ひとりの男性だけが特に気になってしまった。
年齢32歳。広島市。写メも載ってた。
出身は大阪。人当たりがよさそうな人。
凛華子は41歳。
恋愛を諦めていたのは歳のせいもあった。
1から恋愛して、また知ってもらうことがめんどくさいな、なんて思っていた。
どこかに一緒に出かけて、自分を取り繕うのもなんだか疲れる。
付き合うならありのままの自分を受け入れてくれる人がいい。
そんなことを考えていたら恋愛なんてできなかったし、遠ざけてもいた。
コメントに思わず「会いませんか?」と入力。送信。
凛華子は驚いた。
(なんで送信した?)自分でも分からなかった。
他にもたくさんいた。同じくらいの年齢の男性。同職業の人。
それなのに全く歳の離れた10近く離れた人にメールを送信。
【出会い系】だからしたのか。
会うはずない、なんて思っていたのか。
ただいえることは、送信したことに【迷い】などなかった。
この男性を選択したことに【迷い】がなかったのだった。
他の男性になどメールも送らなければ、見る気もしていなかったのだから。