ナツのsorary

小説 おしゃれ 携帯やブログ設定など連載中です!

PRIDE 恋に落ちた時 【ネット小説】

大翔の仕事も終わり、二人でどこかに行くことにした。

しかし、20時近い中、空いているお店は居酒屋やファミレス、ごはんを食べるお店。

なかなかゆっくり話ができるお店が見つからなかった。

オシャレなカフェを見つけたので、入ろうとしたところ

店員さんに「申し訳ありません。アルコールしかもうないんです。」と言われ

「アルコールって(笑)」と二人で顔を見合わせて笑った。

この近くだと、ファミレスくらいしかない。

「ここでいい?」と凛華子が言うと

「全然いいですよ。」とファミレスにすることに決めた。

 

二人で向き合って座り、とりあえずドリンクバーを注文した。

凛華子はキャラメルラテ。

大翔はメロンソーダを取りに行った。

席に戻り、まずアイコスを吸った。

落ち着かなかった訳じゃないけれど

改めて目の前に座り、顔を合わせるのは恥ずかしかった。

 

大翔が「第一印象どうでした?」と聞いてきた。

「そうやな。電話は感じ悪かった(笑)。

会ってみたら、スーツの似合う人やなっておもったかな。」

「俺は、イメージした通りやったな。ほら、写メが片目だけやったやん?

なんであの写メって思ったけど、この人!って思ったから。」

「なにそれ(笑)いろんな人からの誘いとかなかった?」

「あったあった。いくらなら会えますかって。

なんでお金払わんとあかんのやって話よ(笑)」

「あたしはそんなんなかったけどな。お金の話(笑)」

しばらくは、【出会い系サイト】についての話で笑った。

こんな人いた、とか、いろんな条件で登録してたり

探してるんだねって話なんてした。

 

ふと大翔が切り出した。

「先に俺の話しといていい?」

ちょっとよく分からなかったけど、彼自身のことは知りたかったから

「いいよ。」と答えた。

「俺さ、バツイチで子どもいるんだよね。」

一瞬何を言っているのか

理解して、頭を整理するまでに少し時間がかかった。

でも、それを大翔に悟られては彼が嫌な思いをするかもしれない。

彼は正直にあたしに話をしたのだから。

 

「あたしも話すよ。」

「うん。ええよ。」

「あたしもバツイチ。子どもはいないよ」

「そっか。」

翔は普通に何もなかったようにメロンジュースを飲んでいる。

 

凛華子はバツイチであることを隠していようと思わなかったけれど

話すことで引かれるんじゃないかと不安だった。

でも、大翔は、離婚の原因を聞いてくるわけでもなく

それ以上凛華子に問い詰めたり、聞こうとすることはしなかった。

あくまで、「普通」でいるのだ。

それの姿に凛華子は驚いてしまった。

大翔の過去を聞いて少し動揺した自分を大人の対応じゃないな、ゆとりない。

かなり自己嫌悪になった。

 

「子どもは何歳?」

「1歳なるかな。」

「そんなに小さいんだ。可愛い時じゃん。」

「まあね。」

口にしてしまった時に(しまった)と思った。

大翔がどんな事情で離婚したのか知らないし

どんな想いでいるのかも分からない。

それでいて、自分は大翔の過去にこだわっているのだ。

大翔の気持ちなど考えていない。

また、自己嫌悪。

 

「彼氏欲しいな、とか思わないの?」とふと大翔の声が聞こえた。

「欲しいと思ってたけど諦めてた。めんどくさいとも思ってたしね。

また、自分を知ってもらうこともさ。」

「そっか。」

 

飲み物がなくなり、また二人で取りにいく。

凛華子はカプチーノ、大翔はカフェオレだ。

それから、お互い過去の話はしなかった。

しなかったというより避けてた。

 

仕事の話や休みの日何して過ごしているかなんて

たわいもない話をたくさんした。

 

12時を過ぎようとしていた。

「俺、明日誕生日なんよ。」
「そうなん?あたし明日休みだし、良かったら一緒にお祝いしよか(笑)」

「ええん?」

「ええよ(笑)」

「じゃ、明日、会える?」
「うん!ええよ。何するか考えとくわ。」

 

またカプチーノとカフェオレを取りに行き、席に着いた。

「あのさ、今思ってることを文字数で表そうか?」
「なにそれ(笑)」
「やろうや。」

「まず、何文字か教えて。」

「そうやな。うーん。」凛華子は考えた。

浮かんだのは9文字。

迷いもなかった。

「選択」も「決断」でもない。

 

「そうやな。9文字!」

「9文字?俺と違うやんか!」大翔は考える。

(もしかして断られる?)

大翔は何度も指を数え、文字を確認している。

首をかしげて

「あれ?なんや?」と言う。

凛華子も分からない。

大翔の思っていることが。

自分はとても恥ずかしくなった。

この空間が楽しくて、居心地もよくて、一緒にいたくて

彼を知りたくて伝えた文字数。

じゃ、大翔はなに?

違うことを感じ、考えてる?

 

「俺、5文字なんやけど(笑)】」

5文字?あたしと違うのかも。か・え・り・た・い。5文字だ。絶望感。

 

「丁寧にゆうたら9文字やんな(笑)}
「じゃ、一緒にせーので言おう。」

「え」

「はい、ゆうよ」

違ったら、帰ろう、速攻で、凛華子は思った。

 

「せーの」

「「付き合ってください」」二人で笑った。

突然、大翔は席を立ちあがり、凛華子の肩を抱きしめてキスをした。

 

凛華子は状況がよく分からなかった。周りにはたくさんの人が見ていた。恥ずかしさと嬉しさでいっぱいだった。

赤くなった顔を両手で隠す。

恋に落ちた。

 

大翔は、二人の想いが同じだと確認したときには

凛華子を抱き寄せ、口づけをしていた。

身体が勝手に動いていた。

キスしたかった。

 

恋に落ちていたんだ、初めて会ったときから。

 

 

恋に落ちた日。

それは20xx年5月2日。

 

 

 にほんブログ村 恋愛ブログ