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PRIDE 事実 【ネット小説】

大翔と部屋に入ると

大翔はいつものようにアイコスを手にしてソファーに座った。

凛華子も隣に座る。

距離感は少し近くなった気がする。

たわいもない話を1時間以上した。

今日買ったスニーカーの話やそれに合わせる服の話。

お揃いのスニーカーを取り出して履いてみた。

靴を履いて、二人でソファーから眺める。

足が綺麗に並ぶ。

お揃いのスニーカーが【記念日なんだ】

ということを意識させ、付き合ってるんだなって

ずっと眺めてしまう。

大翔の足は大きくて、男性を意識させる。

そう思ったら、手や背中も、繋いだ手も意識した。

大翔よりかなり小さなあたしの足は、やっぱり女の子だ。

繋いだ手もそう。

 

大翔は、大切なものが壊れないようにあたしを抱いてくれた。

心が幸せでいっぱいだった。

あたしも大切なものを壊さないように大翔を抱きしめたんだ。

 

翌日から、出勤前のフェイスタイムは欠かさなかった。

「今から仕事です。」

「俺は、今からスーツに着かえます。なあ、ネクタイどれがいい?」

大翔はネクタイを4本差し出す。

スーツは明るめのグレー。

「薄いピンク系は?」

「このボーダーはあかん?」

「なんかありきたり(笑)」

「そかそか。」

「もう着くから電話も終わりかな。またラインするよ。」

「おけ。俺もラインする。」

 

人は「恋をする」となんでもポジティブになれるし、前向きに頑張れる。

辛いこともやってみようと思う。

乗り越えられるんじゃないかとさえ思う。

仕事にも力が入るし、頑張れる。

余裕も持てるし、ゆとりもある。

こころが満たされているから、たとえ負荷がかかっても、

少々のことがあってもなんてことない。

 

「人を好きになる」ことはすごい力があると思う。

自分を強くさせるし、自分の弱ささえ、強さへ変えてくれる。

自分の成長や目標を持つ機会にもなり、ステップアップにもなる。

「恋をすること」が仕事や人生に少なからず影響していることを

どれだけの人が気づいているだろう。

その「恋」がどんな「恋」になるのかまだ分からなくても・・・

 

大翔は店長を目指している。

凛華子と出会い、付き合い始めたことで、

今月5月で店長になりきることを【決意】した。

必ずやってみせる、自分に言い聞かせる。

業績をだし、結果を残す。

意思は強かったし、固かった。

それが翔の【強さ】だった。

 

二人は毎日会った。

会うのはいつもホテルだった。

大翔の部屋ではなかった。

凛華子の家は実家なので

ゆっくり二人で過ごすにもなかなかそうはいかない。

大翔は凛華子を部屋に入れることはなかった。

1度だけ、「部屋行ったらダメなの?」と聞いたけれど

「あんまりきれいじゃないから。」

というのが大翔の返事だった。

それ以上詮索してはいけないと思ったし

信じたかった。

 

ほぼ毎日ホテルで過ごし

泊まって帰ることも多くあった。

いくら彼が凛華子より収入が良かったにしてもお金がかかる。

せめて食事だけでもと、凛華子はおかずを作った。

スペアリブとグリーンスープ、トマトとモッツァレラチーズのサラダ。

大翔はいつも朝は食べないし、お昼は定食で済ます。

そのことも気になっていた。

素直に喜んでくれた。

「また作ってな。」

そう言って全部食べてくれた。

 

大翔が突然ソファーからベッドにいる凛華子に話しかけた。

「あのさ、凛華子は奥さんいる人と付き合える?」

「付き合えないよ、奥さんの事考えたら無理。

自分が奥さんの立場だったらって考えたら、それはない。」

「そか。」

大翔は黙った。

 

「じゃ、彼女がいる人とは付き合える?」

「それも無理。相手のこと考えたら無理やね。

同じ好きの気持ちやろ?

考えるかもしれないけど、やっぱり彼女の気持ち考えるね。」

大翔は黙った。

 

「じゃ、俺ら付き合えないね・・・」

凛華子は黙った。よく分からなかったし、意味が分からなかった。

大翔が話かける。

「もしもさ、俺に奥さんと彼女いたらどうする?」

凛華子は頭が真っ白になった。

(もしもって何?)

凛華子はうまく息がうまくできなくなった。

意識が遠くなる。

大翔の声も遠くなる。

 

【幸せ】を【選択】した結果がこの【現実】。

 

「選択」を迷うこともあるし、誤ることもある。けれど、「幸せ」のため

に自ら「選択」した【現実】。

【好きな気持ち】は【強くさせる】けれど【弱くもさせる】。

それを知る。

 

こんなに好きになっていたなんて・・・

20xx年5月上旬のこと。

 

 

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