ナツのsorary

小説 おしゃれ 携帯やブログ設定など連載中です!

PRIDE カタチないモノ 【ネット小説】

「時間はそんなかかんないから。」

スマホを見る。時間は15時。

長崎へ着いたのは12時過ぎ。

カフェに入って、2時間が経った。

(奥さんと元カ、二人に会ってるんやから、時間かかるか)

泪は、また流れる。

「大丈夫ですか?」

テーブルを片付けに来た店員に声をかけられ

「大丈夫です。」と小さな声で呟く。

泣いていることは分かっていたことだろう。

隠しきれてなどいない。

頼んだカフェオレには一切手をつけていなかった。

 

ラインも入らない。

(本当に帰ってくるの?)

また、泪が出る。

(もう帰ろうかな。)

広島までの帰る方法を検索する。

(ここどこなんやろ。駅とか分からんしな。お金どれくらいかかるんやろ?)

もう、いろんなことがどうでも良くなった。

 

ふと、ミナトくんの事が頭に浮かぶ。

ミナトくんは、大翔の子ども。

まだ1歳になるかならないか、小さな小さな子ども。

(あの子はどう思うんやろ。少し大きくなったら。)

頭がミナトくんでいっぱいになる。

勿論、会ったこともなければ、写メも見たこともない。

でも、今回のことで傷つくのは【小さなミナトくん】であることは事実。

言葉がなくなった。泪が出た。

関係ない、と言われればそれまでかもしれない。

けれど今大翔といる以上、凛華子の中では関係ないことではなかった。

泪は【哀しみ】に変わる。

【哀しみ】が意味することを、凛華子はあとで気付くことになる。

 

待ちきれず、大翔にラインする。「まだ?」

「もう行くから。」

30分後、大翔は店に着き、凛華子を車に乗せた。

「待たせてごめん。」

「どうやたったん?」

「携帯の解約するのに時間かかった。」

「元カノは?」

「お互い別々の道で歩んで行こうって話した。分かってくれたみたい。」

「そか。」

それ以外の答えが見つからなかった。言葉もなかった。

大翔を信じるしかない。

凛華子は自分に言い聞かせるのだった。

 

その日の夜、大翔は凛華子に聞く。

「男と別れたら、すぐ他の男に行くもの?」

凛華子には何の話か見えないし、分からない。

大翔はフェイスブックを見ていた。

元カノが新幹線の切符を買い、彼氏のいる京都へ行くようだ。

(だから何?あたしにそれ聞く?聞くのは元カノじゃなくて?)

「だから、軽いんよ。」

答えなかった。

どうでも良かったわけじゃないけれど

そこに執着することが理解できなかった。

少し分かるとしたら、大翔の【プライド】か。

(【プライド】か)

凛華子はただ黙って、天井を眺めていた。

 

 

梅雨に入り、もうすぐ6月中旬になる。

幸せかと聞かれたら、凛華子は幸せだった。

ただ、不安がないわけではなかった。

大翔のネックレス。

外されてはいなかった。

凛華子は切り出す。

「そのネックレス、お揃い?」

「いや、自分で買ったやつ。」

「そ。じゃ、お揃いで買わない?」

凛華子の【嫉妬】。

初めて見せたかもしれない。

それを大翔が気付いていたかは分からい。

ネックレスで検索をかけた。何日も。

「これがいいんやない?」

「俺はこっちの方が好き。」

意見が合わない。日にちだけが経っていく。

 

凛華子は苛立つ。

翔にも、自分にも。

「何でネックレスつけてるん?大事なもの?」

(嫌なこと聞くな)凛華子は思った。

凛華子は言葉を後に後悔する。

「そんなことないよ。」

そういうと、翔はネックレスを引きちぎった。

(え。)

「これでいい?分かった?」

翔は部屋を出て行った。

凛華子は引きちぎられたネックレスを手に取った。

(そんなつもりじゃなかったのに)

よくみると【赤い糸 FOREVER LOVE】

と書かれていた。

「自分で買った」という大翔の言葉。

信じるしかない。

 

【信じる】ことに【カタチ】はない。

けれど【信じる】ことは【カタチ】を変える。

難しいことなのかもしれない。

けれど、とてもシンプルなことなのかもしれない。

【カタチのないもの】を私たちは求めてしまう。

【カタチがない】からこそ【カタチにしたい】と思う。

【カタチあるもの】がすべてではないように思う。

けれど、人が求めてやまないのは自分を満たすためなのであろうか?

【信じる気持ち】を確かなものにしたいからだろうか。

確かなものにすることに【カタチ】がどれほど必要だろうか。

【カタチないもの】を人はどうすれば【信じる】ことができるのだろうか。

 

 

にほんブログ村 恋愛ブログ