恋愛小説
この度、【PRIDE】【Visual】に続き 改めて書き始めた【鳥籠の中の私】でした。 これまでのものと違い 【夫婦の在り方】や【ふたりの意味】【ひとりの存在】 そして【家族の意味】について考えてみるとともに 【生活の意味】についても考えながら書いてみま…
時間とは、不思議はものだと思う。 決して戻ることはない。 けれど、思い出すことはできる。 しかし、想い出を創っていくこともできるのだから。 二人はただただ黙ってチャイラテを口にするだけだった。 [このお店、まだあって良かった。嬉しかった。」 は…
家を出て2ケ月が過ぎようとしていた。 京香は住んでいた市を離れることにした。 なにもかもすべてやり直したかった。 やり直すというより【リセット】が必要だった。 京香は医療の仕事にはもともと携わりたかったので ヘルパーの資格から取り 医療現場で介護…
もう【この家】にはなにも【ない】。 残されたものもない。 【ふたりの未来】もない。 ずっとこの家で守られてきて また、この家を守ってきたけれど もうこの家には【守るべきもの】がなにもない。 京香はそう思う。 蓮司をいつも通り、朝見送った。 「行っ…
【当たり前の日常】を失うこと。 それは失望と絶望でしかないのだうか。 果たして本当にそうだろうか。 望みは失ってたとしても 絶たれたわけではないということ。 これから何を望み これから生きて行くのかは自分で変えていけるということ。 それに気づくの…
「朝ごはん、食べないの?」 もうそれ以外の言葉など見つからなかったし 沈黙が続くことだけは避けたかった。 せめて【ふたりの時間】を。 【ふたりの日常】を【ふたりの生活】を感じたかったから。 「 何があったの?」なんて聞くことも 予想すらできる事柄…
蓮司と結婚して3年が経つ。 これまで、喧嘩をすることはたくさんあった。 言い争うことだってたくさんあった。 一緒に生活をすることって何だろうと思う。 【好きだから一緒にいる】だけでは成立しない気がする。 【生活】していくということは【生きていく…
今日という一日は長かった。 パートに行き、普通に仕事をして、帰りにスーパーへ買い物に行った。 帰ってきて、すぐに晩御飯の最終段階に取り掛かり あとは、温めるだけ。 (なんだかすごく疲れたな) ソファーに深く座り、ため息をつく。 時計はもう19時に…
香澄の部屋を初めて訪れてから数ヶ月が経とうとしていた。 香澄との関係は相変わらずで ただ【求め合う】だけの関係だった。 俺自身、そこに【愛情】があるのか、と聞かれれば ないわけではない。 【愛情】がなければ関係など持たない。 ただ、その愛情は【…
今日は1日中雨が続いていた。 (夕方から強くなるって天気予報で言ってたな‥) 京香はレースのカーテンを少しだけ開けて、外を見ていた。 空を見上げると、雨雲が空を覆っていた。 雨足が強くなる。 (これから強くなるな) レースのカーテンを閉めて、リビ…
蓮司と出逢い、一緒に仕事が出来ること。 同じ空間にいるということ。 ただ、それだけで良かった。 それ以上は望んではいなかったし 望んではいけないとも思った。 けれど、蓮司の奥さんを見かけたことで 想いは一気に膨らんでしまった。 望んではいけないと…
この人のそばにいたいから【結婚】した。 他の誰でもない【彼】だから。 【結婚】という言葉が欲しかったし 【妻である】ことが何より自分には代えられないものだった。 一生そばにいるということ。 添い遂げるということ。 【彼】だから、そうしようと【決…
好きだから【結婚】した。 愛しているから【結婚】した。 一生添い遂げようと思い、【覚悟】し【決意】して【結婚】した。 一生添い遂げるということ。 一生そばにいるということ。 【夫婦】になるということ。 【家族】になるということ。 それは、二人の関…
京香と出逢って結婚できたことは 蓮司にとってとても幸せなことだった。 というより、【京香にそばにいて欲しかった】 という想いの方が適切なのかもしれない。 勿論、京香のことは愛していたし 京香に出会った時、この人と【結婚】したいと思った。 【幸せ…
「初めまして、城木です。」 頭を下げて、挨拶をする。 城木が初めて、会社に入社し、この店舗に初めて所属した日だった。 「初めまして。宮原と申します。」 香澄は、軽く頭を下げて挨拶を交わした。 顔を上げる。初めて蓮司の顔を見た。 蓮司は、清潔感の…
「お大事になさいませ。」 京香は診察券を渡しながら患者に軽く微笑んだ。 仕事の間は何も考えなかったし、考えることもしなかった。 ただ、ひたすら仕事だけに打ち込んだ。 【時間】だけは早く過ぎ、もう仕事は終わろうとしている。 蓮司が迎えに来る‥。 「…
【守られているこの家】の中で暮らすこと。 【守られたこの中】で過ごしているということ。 京香はふと思う時がある。 あたしは、何も知らないことが多すぎるのかもしれない‥と。 「ただいま。」 蓮司が帰ってきた。 「おかえり。」 京香はリビングの扉が開…
それは、【たまたま】だったのかもしれないし 【必然】だったのかもしれない。 京香は病院で受付のパートをしていた。 診療科は産婦人科だった。 この病院は産科・婦人科だけでなく、 不妊外来やアンチエイジング外来もあった。 アンチエイジング外来もあっ…
洗濯物を干し終え、リビングや2階に掃除機をかける。 いつもの生活。 午前中のうちに晩御飯の下ごしらえをしておく。 それから、パートへ行く準備をする。 これが、京香の【日常】。 ラインの音が鳴った。 ラインを開く。 「喧嘩をしても気持ちはいつまでも…
朝の陽射しがとてもキレイだった。 ここから【新しく踏み出す日】にはちょうどいい。 そんな日だった。 後ろを振り返る。 綺麗に片付けられた部屋。 「もう何もないのね。」 ひとり微笑み、部屋を見渡す。 ただ、残っているのは、【わたし】の香りだけ。 ほ…
【PRIDE】を終えました!1か月ぐらいでしたかね。 書きながら、いろんな事を考えさせられました。 凛華子の想い、大翔の想い。奥さんや元カノの想い。 子どものミナトの想い。主に凛華子と大翔を中心に 描くことになりました。描いていく中で 誰がどういう想…
大翔に式場に誘われて、式場を訪れるまであと3日。 凛華子はこれまでの自分を振り返る。 二人を振り返る。 「次で決めてしまう。もうがっかりさせたくないから。」 大翔の目はとても真っすぐだった。 「今までも見に行って、先送りだったやろ? もうしたくな…
見えている世界。見えてくる世界。 【過去】があるから【いま】がある。【未来】もある。 【過去】と【いま】がひとつの糸で結ばれているとするならば 【未来】は【いま】からどれだけの糸で結ばれるのだろう。 どんな色にも染められる。 そう考えると【変え…
【自分が変わる】という事。 【相手には求めすぎない】ということ。 それは、容易ではないし、時間が必要。 ふと、たち止まる瞬間がある。少し、休もうって。 二人で生きていくことは、一人の人生としても歩んでいること。 そこが成り立たなければ、二人には…
子どもの笑い声が聞こえる。 それは、とても近くで。 耳元で囁かれる、小さな声。 「一緒に数える?」 凛華子は子どもに寄り添い笑顔を向ける。 子どもは恥ずかしそうに頷く。 「1.2.3.4・・」子どもと一緒に数を数えていく。 子どもは時々確かめるように凛…
大翔との出逢いは衝撃的だった。 【出会い系サイト】から始まった【本気の恋】だった。 恋に落ちるまで時間はかからなかった。 けれど、知らなければいけなっかった【真実】と 知ってしまった【事実】。 何回泪したことだろう。 泪するたびに、泪の【意味】…
(親に連絡するん何年ぶりやろ) スマホを手にして、大翔はアイコスを吸っていた。 大翔の母親からはメールはたまに入っていた。 「誕生日おめでとう。」「元気にしていますか。」「仕事はどう?」 どれも短文でどう返信していいものか分からなかった。 凛華…
大聖堂となっていて、天井が高く、厳粛で 美しく輝くステンドグラスが広がる とても素敵な教会だった。 まさに【誓いの場】にふさわしい。 凛華子はうっとりした。 「当日はパイプオルガンのみとなります。」 係の人が教えてくれた。 「その音と誓いの言葉、…
病院に行ってから数日が過ぎ、そして数週間が過ぎた。 特に何も変わらない【今までの生活】。 それが、凛華子を泪させることもあった。 大翔と買い物に出かけると親子で歩く夫婦を見かけた。 小さな子どもと手を繋いで歩く、ごく【当たり前】の光景。 (あー…
「どんな調子?」 先生が笑顔を向けて、優しく話しかける。 「特になにもないと思ってます・・」 「そうですか。なら良かった。」 先生はカルテを書いている。 「あの。」 凛華子が話し出す。 「ただ、最近前まで出来てたことがうまくできない気がします。」…