2019-05-01から1ヶ月間の記事一覧
家を出て2ケ月が過ぎようとしていた。 京香は住んでいた市を離れることにした。 なにもかもすべてやり直したかった。 やり直すというより【リセット】が必要だった。 京香は医療の仕事にはもともと携わりたかったので ヘルパーの資格から取り 医療現場で介護…
もう【この家】にはなにも【ない】。 残されたものもない。 【ふたりの未来】もない。 ずっとこの家で守られてきて また、この家を守ってきたけれど もうこの家には【守るべきもの】がなにもない。 京香はそう思う。 蓮司をいつも通り、朝見送った。 「行っ…
あれから、蓮司と京香の生活は変わることはなかった。 変わったことといえば 【夫婦で生きている】というより 【ふたりで生活をしている】という感じだった。 【ふたりで生きていく】ことと 【生活をしていく】ことは 【夫婦】だから成り立つものだと思って…
【当たり前の日常】を失うこと。 それは失望と絶望でしかないのだうか。 果たして本当にそうだろうか。 望みは失ってたとしても 絶たれたわけではないということ。 これから何を望み これから生きて行くのかは自分で変えていけるということ。 それに気づくの…
「朝ごはん、食べないの?」 もうそれ以外の言葉など見つからなかったし 沈黙が続くことだけは避けたかった。 せめて【ふたりの時間】を。 【ふたりの日常】を【ふたりの生活】を感じたかったから。 「 何があったの?」なんて聞くことも 予想すらできる事柄…
蓮司と結婚して3年が経つ。 これまで、喧嘩をすることはたくさんあった。 言い争うことだってたくさんあった。 一緒に生活をすることって何だろうと思う。 【好きだから一緒にいる】だけでは成立しない気がする。 【生活】していくということは【生きていく…