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PRIDE 糸~創り上げていく覚悟~ 【ネット小説】

見えている世界。見えてくる世界。

【過去】があるから【いま】がある。【未来】もある。

【過去】と【いま】がひとつの糸で結ばれているとするならば

【未来】は【いま】からどれだけの糸で結ばれるのだろう。

どんな色にも染められる。

 

そう考えると【変えていくこと】も【創ること】も

そんなに辛くもしんどくもならない。

振り返るから

【過去】しか見ないから

【いま】しか見なかったら誰しもきつくなる。

抱えきれなくもなるものだ。

 

(だから、立ち止まるのか)

凛華子は気づく。

 

もし、立ち止まり、そこに【選択】や【決断】があるなら

違うのかもしれない。【迷い】も違うだろう。

 

どうしてなんだろうという【疑問】は

まだ自分に何か気づくヒントがあること。

違和感があるのは【違う】と感じ、違うと【判断】することは簡単。

 

けれど、それに対して「どうして?」と

投げかけることの方が大切な事なんじゃないかと思う。

その事と向き合うことはきついし、しんどい。結論は出ないかもしれない。

けれど、気付きはあるんじゃないかと思う。

 

凛華子は目を閉じた。

大翔と出逢って、二人でいる未来を思い描いてみる。

同時に、自分ひとりの未来も思い描いてみた。

そっと太陽の光が瞼に当たる。優しいぬくもり。

 

クーがストンと凛華子の膝の上に乗ってきた。

ゴロゴロと喉を鳴らす。リーはテーブルの上に上がってきた。

今日はとても天気がいい。

朝から凛華子は洗濯物を干した。

「二人とも、お外に行きたいんやな(笑)。」

クーもリーも喉を鳴らしたまま凛華子から離れない。

「だから、甘えてきてるんやろ(笑)。」

クーは喉を鳴らしたまま、凛華子をじっと眺める。

「分かったよ。お外ね。」

そう言うと、凛華子は窓を開けてやった。

クーはストンと凛華子の膝をおり、外へ出ていった。

後を追うように、リーも出ていく。

「あんまり遅くならんのよ。遠くまでいかんのよ。」

まるで自分の子どもに言って聞かせているようだ。

サラは、それを凛華子の足元でしっぽをふりながら見ていた。

「サラ、一緒にお留守番してようね。」

サラがしっぽを振りながら、凛華子を見ていた。

 

俺が見ている世界。俺の大切なもの。

凛華子がいる世界。リーもクーもサラもいる世界。

誰が欠けても俺の【いま】も【未来】もない。

休日が好きだ。リーとクーとサラがいて、凛華子がいる。

リビングでソファで座って話している、何気ない休日。

何もないかもしれない。

けれど、大きな幸せ。何にも変えられない。

壊したくない。壊させない。

(俺は何をしたらいい?)

ずっと考えてた。

凛華子に何でも話してもらえるようにすること。

不安にさせないこと。

変わる努力をすること。

俺の【過去】がどれだけ消えればいいと思ったことだろう。

お互いの【過去】が消えればいいとさえ思った。

 

 

俺は【幸せの意味】を知った。

【幸せの意味】を感じた。

これからずっとそうでありたいと願った。

【創っていきたい】と。

 

凛華子の見ている世界。それは【優しい温もり】

大翔の見ている世界。【幸せの空間】

二人のいる世界。

そこに在るのは二人で生きていく覚悟ではなくなっていた。

そのために、【創り上げていく覚悟】に。

 

温かな日差しがリビングを照らす。

リーとクーが鳴く声がした。

「あ、帰ってきた!」

窓を開けると、リーとクーが帰ってきた。

「おかえりー(笑)。よく遊んできたね。(笑)。」

凛華子はリーとクーに話しかける。

スマホが鳴った。大翔からだった。

「あのさ、今週末、もう1回式場見に行こう。」

大翔が言う。

一瞬戸惑うが

「うん、わかった。」

凛華子は答えた。

 

スマホを切った。凛華子の声が耳に残る。

温かな日差しが大翔を照らした。

 


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