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PRIDE 誓い~スタート~ 【ネット小説】

大翔に式場に誘われて、式場を訪れるまであと3日。

凛華子はこれまでの自分を振り返る。

二人を振り返る。

 

「次で決めてしまう。もうがっかりさせたくないから。」

大翔の目はとても真っすぐだった。

「今までも見に行って、先送りだったやろ?

もうしたくないいんよ。」

凛華子は黙る。

「あんな式場はもうない。きっと。」

それは本当。 

二人で挙げれる場所。

バージンロードは硝子張りで綺麗な黄色の薔薇の花

に埋め尽くされていた。

そして真っ白な空間。

小さなステンドグラス。

確かにない。

凛華子もそう思うし、二人で歩くイメージもできる。

「そうだね。」

「だから、一緒にもう一度ちゃんとあそこでいいのか

確認しにいこ。」

静かな口調で大翔が話しかける。

(本気だ)

凛華子はそう思った。

 

二人で創り上げていく覚悟。

そう自分の中で気づいた時、【未来】は

自分で変えられる。どんなものにも、どんな色にも。

隣には大翔がいる。

創り上げていくのは二人でしていくもの。

ひとりではないこと。

(強くなったな)

凛華子はそう思う。

 

これまでどれだけのことがあっただろうか。

そしてどれだけ相手を責めたこともあっただろう。

傷つけてきたこともあった。

それでも、【二人でいること】を選択し

【ともに生きていく】ことを決断し

ともに一緒に歩んできた。

それでもぶつかることはたくさんあった。

何かを【理由】にして

たとえばそれが【過去】として

本当に自分が必要とされているのか

確認作業だったようにも思える。

 

いろんなものをすべて脱ぎ去った時

不必要なプライドをなくして物事を考えた時

見えてきたこと、分かったこと、気付いたことが

多くあった気がする。

 

【プライド】はとても必要なもの。

けれど、時として、少し措いておくことも必要なのかもしれない。

 

そうすることで、見えてくる世界、新しい世界を知ることが

出来るんじゃないかと思う。

【プライド】とは何なのか考える。

例えば、誰かと比べてしまう時には邪魔をしてしまうかもしれない。

けれど、自分自身を考えた時はどうだろう、と思う。

自分を大切にすること、向き合う事やその自尊心。

本当の【プライド】の意味を知り、それを持って生きていきたい。

【ゆるぎないもの】だったり【ブレないもの】だったり。

生き方を考えていきたい、と思うのだ。

 

扉が開く。

 

凛華子は大翔の腕にそっと手かける。

一面に広がる薔薇の匂い。

どれだけこの時を夢見たことだろう。

 

二人でゆっくりとバージンロードを一歩一歩進む。ゆっくりと。

出逢い、二人で歩んできた日々を想う。

毎日を思い出す。一日一日を思い出す。

 

「凛華子さんと出逢ってもうすぐ3年という月日が経ちますが、

僕は今も一目ぼれした凛華子さんの笑顔が大好きです。

これからも、いつまでもずっとそばで笑っていてください。

一生大切にします。」

「私が辛い時や落ち込んでいる時に、

いつも私を優しく見守り

笑わせてくれる大翔さんが大好きです。

二人で寄り添い年を重ねていきたいです。

これからも、ずっとよろしくお願いします。」

「「私たちは皆様に見守られながら、本日正式に夫婦となります。

まだまだ未熟な私たちではありますが

これからも温かく見守ってください。

20xx年11月10日」

「新郎 氷上大翔」

「新婦 氷上凛華子」

「それでは誓いのキスを。」

大翔はゆっくりベールをあげ、凛華子を見つめる。

そして、軽く口づけをした。

 

パイプオルガンの音が神聖な儀式であることを伝えてくれる。

【夫婦になれたこと】を実感する。

これまでの【覚悟】を改めて実感する。

ともに歩み、乗り越えていくこと。

ゴールではなく【スタート】だということ。

 

大翔と凛華子の新しい人生は

これからはじまる・・・

 

【完】

 

 

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