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PRIDE 大翔の想い~願い~ 【ネット小説】

大翔は、思った。

凛華子にどれだけ自分の気持ちが伝わっているのか。

(凛華子に笑顔でいてほしい、そばにいてほしい)

この想いがちゃんと伝わっているだろうか。

凛華子を傷つけ、不安にさせていることは事実。

それを払拭させたい、信じて欲しい。

 

助手席で外の景色を眺めている凛華子を見た。

まるで自分の思っていることが伝わったかのように

凛華子は大翔に笑いかけた。

凛華子の手を強く握りしめる。

 

「緊張するね。緊張しすぎてなんか吐きそう(笑)。」

「なんやそれ(笑)。」

二人で顔を見合わせて笑う。

「言われたら俺も緊張してきたわ(笑)。」

また笑った。

 

実家まであと10分くらい。

「実家に電話しとくわ。」

「そやな。15時くらいとはゆうたけど、行く前連絡した方がええやろな。」

凛華子が電話をする。

出たのは、凛華子の母親のようだ。

「もうすぐ着くよ。」

「気をつけていらっしゃい。」

信号で車は停まった。繋いだ手に力が入る。

 

「いらっしゃい、玄関から入って。」

凛華子の母親が窓を開けて声をかけてきた。

玄関を開けて

「こんにちは。はじめまして。成宮大翔です。

これ、良かったら食べてください。」

お土産を凛華子の凛華子の母親に渡す。

「モロゾフのチーズスフレじゃない。美味しそう。

一緒に食べましょう。応接室へどうぞ。」

大翔はスーツ、凛華子はワンピースを着ていた。

正装してきたつもりだった。

自分の気持ちは素直に、正直に話をしたかったし

凛華子の両親の話もきちんと聞きたった。

応接室へ行くと、凛華子のお父さんが入ってきた。

大翔はすぐに立ち上がり

「はじめまして。」と挨拶をする。

凛華子のお父さんは

「そんなに改まらなくていいから(笑)。」

と笑顔で返してくれた。

凛華子のお母さんが、チーズスフレとコーヒーを運んで来てくれた。

「美味しそうでしょ。いただいたのよ。一緒に食べましょ。

良かったら日本茶もありますから、ゆってくださいね。」

「じゃ、先にいただこうか。」

凛華子のお父さんがそう言うので

先にチーズスフレを4人で食べることになった。

「こんなケーキ、普段食べないからな。」

凛華子の父が笑う。

「そうね。本当に美味しい。」

凛華子の母は美味しそうに食べている。

ふと、凛華子を見ると、あまり進んでいない。

緊張しているのだろう。

俺も、緊張して喉を通らない。

「食べないの?」

凛華子のお母さんは大翔に聞いた。

「後でいただきます。」

大翔は言う。きっと笑顔になりきれてなかった。

「そんなに緊張しなくてもいいのにな。」

凛華子のお父さんは笑顔で言う。

気が付くと、凛華子のお父さんは全部食べてしまっていた。

 

「さて、話を聞こうかな。」

凛華子のお父さんは、真面目な顔で俺を見た。

「成宮大翔と言います。32歳です。仕事は携帯会社の営業をしています。

凛華子さんとは結婚を考えて付き合っています。」

凛華子の両親は驚きを隠せていなかった。

「いつ知り合ったの?」

凛華子のお母さんが聞く。

「昨年12月です。」

(5月だなんて言えない)大翔は思う。

(5月だってどうして言わないの)凛華子は思う。

 

来る途中、いつ知り合ったか聞かれたら12月と答えようと話していた。

大翔は「5月って言ったらびっくりするやろ?」

凛華子にそう言っていたのだ。

 

凛華子は話を合わせる。

「携帯を機種変更した時に知り合った。」

「そう」

「僕は結婚していた過去があります。」

「この子もそういう過去があるのよ。」

凛華子のお母さんが話す。

「僕には子どもがいます。」
「何歳なの?」

「1歳です。」

「会ってるの?」

凛華子のお母さんが聞いてくる。

「いいえ、会ってません」

「こんなことを聞くのは失礼だけど、収入は?」

凛華子のお父さんが聞いてきた。

(そんなこと聞く?)

凛華子は恥ずかしくなった。

すぐさま

「そんなことを聞くものじゃありません。」

と凛華子のお母さんはお父さんをたしなめた。

「大事なことだ。」

「大丈夫です。手取りで25万くらいです。」

「養育費とかあるんじゃないの?」

凛華子のお母さんは言う。

「そうですね。」

凛華子は少し会わせたことを後悔した。

 

「この子は歳も歳だし、もっとちゃんと考えた方がいいんじゃないの?」

凛華子の両親は言う。

沈黙が続く。

 

「とりあえず今日はここまでにしておこう。

許可するとも言わないし反対するとも言わない。」

凛華子のお父さんは答えた。

「いつか一緒にお酒が飲めたらいいね。それを楽しみにしておくよ。」

そう言って4人とも席を立った。

 

「今日はありがとうございました。」翔と凛華子が言った。

「また、いらっしゃいね。」

凛華子のお母さんがそう言ってくれた。

 

(今日、来て良かった)

大翔は思った。

凛華子の両親に会えたこと。

また、凛華子のことを知れた、と思う。

 

凛華子の両親に自分の気持ちを伝えたことで

凛華子に自分の想いは伝わっただろうか。

 

帰りの車の中、手を繋ぐ。

強く、握りしめる。

この人を幸せにしたい。

この人と幸せになりたい。

強く願った。

 

 

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