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PRIDE 見えない未来~凛華子の場合~ 【ネット小説】

本当に大翔が両親に会いに行った。

「結婚を考えて、付き合っています。」と伝えていた。

嬉しさと喜び、幸せに満ち溢れた。

「結婚してください。」の言葉も

凛華子の【未来】へが約束された気がした。

もう、これ以上望んではいけない、凛華子は思った。

【幸せ】を感じている反面

これから先起こるであろう何かに不安と感じ、怖さもあった。

 

大翔と【出会い系サイト】で知り合って

付き合ってまだ1ヶ月と経っていない。

(あたしは、どれだけ彼のことを知ってる?)

「もし、俺に奥さんがいたらどうする?」

「もし、俺に彼女がいたらどうする?」

奥さんがいること、彼女がいること。

【事実】がどうなっているのかは、凛華子には分からなかった。

知りたくもなかった。

この話は、ホテルで聞いて以来

大翔の口から話すことはなかったし

凛華子は聞けなかった。

聞いていいのかも分からなっかし、知ったところで

どうすることも出来なかった。

大翔を好きだった。

好きになり過ぎていた。

許せない、とかじゃなく、何を言って言っているの?

と混乱するばかりだった。

怒りや嫉妬より、自分への自信のなさだけが加速していく。

聞けなかったのは、事実を知る怖さもあったけれど

その事実を知った時の自分の【弱さ】を思い知らされることだ。

 

大翔が「今日、物件見に行こ。」と凛華子を誘った。

市内にある不動産を2ヶ所回り、何件かピックアップしてもらった。

広さは1LDK。できればアイランドキッチン。

新築とまではいかないけれど築浅がいいね、なんて二人で話した。

市内のショッピングセンターの近くに新築の1LDKの部屋が空いていた。

「角部屋、まだ空いてます?」

大翔が担当者に聞いている。

「空いてますよ。」

「今日って、その部屋見ることできます?」

「できますよ。まだ中が工事中なので、内装は出来上がってはいるんですが

片付けられてられてないですけどいいですか?工事担当者に確認しますが。」

「見てみたいです。お願いできますか?」

 

担当者が席を外した。工事担当者に連絡している。

「今日、見れるとええな。」大翔は子どものように笑う。

つられて凛華子も笑う。

 

「お待たせしました。内見できます。行きましょうか。」

担当者と車に乗り込み、走って10分ほどのところだった。

新築で、工事中だった。

(可愛いな、オシャレやな)凛華子は思う。

「めっちゃええやん!」

 

担当がスリッパを用意してくれていた。

担当と3人で中に入る。中には、まだ工事の人が数名いた。

「すみません。」凛華子は頭を下げる。

玄関から真っすぐ行ったところに12帖のダイニングキッチン。

アイランドキッチンだった。

寝室から浴室まではウォインクローゼットになっていた。

収納も多い。日当たりも良かった。

「めっちゃええやん!ここにしよか!」

大翔はもうここしかないと決めているようだった。

確かにここであれば、どんなに素敵なことだろう。

凛華子は想像する。

 

お店に戻ると、大翔は

「契約書類に必要なものってなんですか?」

「職場の給与明細かなにか。在職証明が記載されたものなどです。

あと、身分証明書ですかね。」

担当は答えた。

「6月1日から入居した場合の初期費用を出してもらうことできますか?」

担当は笑顔で「できます。お待ちください。」

と、すぐにデスクに戻り取りかかる。

 

(早いな。)

凛華子は呆気に取られた。

「ここで良かったよね。」

大翔が笑顔でこちらをみる。

「そうやね。めっちゃ良かった。でも決めるん?」

「え?だって良かったやんか。」

大翔のこの決断力というか行動力には、凛華子はいつも驚かされる。

ただ、まっすぐに凛華子を見つめる目だけは信じていたい。

そう思うのだった。

 

担当が計算書を持ってきた。

「こちらです。」

ざっと25万くらい。

「これ、振込ですか?いつまでに払えば大丈夫ですか?部屋押さえれます?」

「1週間くらいでいいですよ。」

「分かりました。振込んだら連絡します。よろしくお願いします。」

大翔と二人で頭を下げて店を出た。

 

(契約するのか)

まだ現実味が湧かない。

「決まったな。ええとこ。」

「そうやね。」

 

嬉しい。

自分は何の不安を抱える必要がある?

充分じゃないか。

不安になる気持ちは全部大翔が消してくれてる。

何を求めてるの?

凛華子は自分に問いかける。

 

夕焼けがとても綺麗だった。

薄紅色に染まった空は、凛華子のこころをも染めていく。

 

繋いだ手はもっと強く結ばれた。

 

 

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