ナツのsorary

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PRIDE 隠されていない【事実】【ネット小説】

(これ、何?)

引っ越しに向けて、凛華子は大翔の部屋で翔の荷物の整理をしていた。

 

「俺、仕事あるから休みやったら荷物整理しといてくれる?」

大翔からそう頼まれ、部屋のカードキーを預かっていた。

 

部屋に着くと凛華子は部屋を眺めた。

TV,小さなテーブルとベッド。ユニットバスにトイレ。

キッチンは小さな一人用のキッチンコンロ。

(ヒトリのオトコノヒトの部屋やな)

凛華子は思った。

ダンボールを組立て、荷物を入れ始めた。荷物は少なかったので

1時間もかからなっかた。

ついでに、掃除もした。引っ越すとはいえ、綺麗な方がいい。

掃除にも力が入る。

ベット下の大きな収納に気づいた。

(あ、ここまだ片付けてなかった)

凛華子はその扉を開けた。

中には大きなバッグとダンボール、そして布団が一式。

(服かな。少なかったし。)

鞄を開けた。

やはり服だった。

冬物のセーターやデニムパンツ、パーカー、パジャマなどがあった。

(やっぱり服だ。さっきの段ボールに入れないと。)

服を入れていたダンボールを開け、ひとつひとつ畳んでは入れていく。

 

(え。何これ。)

手が止まる。

同じパジャマ。

どうみてもレディースだ。

そして、デニムジャケット、ニットが出てくる。

サイズはSサイズ。

言葉がない。ない、というより失った。

(どういうこと?)

棚の中を探す。

クマの可愛い毛布が出てきた。

 

凛華子は動揺を隠せない。

他にもあるかもしれない。

(靴は?)

下駄箱を確認する。(あった。)

愕然とした。

女性のヒール。ヒールの高さは少し高め。

 

キッチンへ向かった。

(やっぱり。)

ペアマグカップを見つける。

 

ユニットは?

見たくなかった。化粧水。

どうみても女性用だ。

 

見たくなかった。

知りたくなかった。

でも見てしまった。

でも知ってしまった。

 

(どうしよう)

(なんて言えばいい?)

考える。考える。浮かばない。

答えなどでない。

誰にも言えない。

 

うずくまる。

 

どれだけの時間が経っただろうか?

部屋に来たのは10時過ぎ。

外はもう薄暗い。

(そういえば、今日何も食べてないや。)

ふと、小さなテーブルの上を見る。

あるのは、来る時にコンビニで買ったカフェラテだけ。

スマホを見る。

時間は19時半を過ぎる。

もうすぐ大翔が帰ってくる。

 

ラインあり。

「あれからどんなー?」

「連絡ないけど大丈夫?」

ラインを見たから既読がついてしまった。

着信もあった。大翔からだ。

 

「なかなか連絡できなくてごめんね。今終わったー」送信。

「心配した。良かった。」

「大丈夫。なんもない。」送信。

 

【なにもない】なんて嘘。

泣きそうになる。

けれど泪は出さない。

こらえる。絶対泣かない。

あたしは、泣かない。

 

(大翔はなんであたしを部屋にいれたんだろ。)

分からなかった。

(荷物を片付けてと頼んだんだろう)

もっと分からなかった。

(言葉にしたくなかったから?【事実】を。)

ただただ、混乱する。

 

【事実】と【真実】。

【事実】は一つしか存在しない。本当の事柄、実際に起きた事柄を示す。.

【真実】はどうであろうか。

 

凛華子が大翔の部屋で見つけたものたち。

この【事実】を大翔はどう言うのだろう。

【真実】は凛華子には、まだわからない。

 

 

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