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PRIDE 繋いだ手 【ネット小説】

「大翔、指輪失くした。ごめん・・。」

「ええよ(笑)。安いもんやったし、また買ったらええ(笑)。一緒に探そ!」

「うん。ほんまにごめんね。」

いくら探しても見つからなかった。

リビング、寝室、ベッドの下、トイレ、浴室、排水溝、キッチン

ゴミ箱、洗濯機回り、洗濯機の中、ありとあらゆる中、くまなく探した。

それでも見つからなかった。

3日経った。

落ち込んでいた凛華子に

「今日、買ってき。ほら、前これええなー、ってみてたGUTTIのリングあったやん。

あれならええんやない?デザインとかさ。」

「でもお揃いやない・・」

「大丈夫。俺はこれつけとくし!」

凛華子とのペアリングを凛華子に見せる。

ペアリングが眩しかった。

「分かった。行くだけいってくる。」

「なんもつけてない方が俺は嫌やしな(笑)。」

そう言って大翔は仕事へ向かった。

 

凛華子はお店へ行き、ショーケースを眺める。

(これ、一緒に見たな)

大翔に電話をする。

「あったよ。」

「つけてみ。フェイスタイムにするから!」

「わかった。」

「すみません。これの9号サイズありますか?」

凛華子がスタッフに声をかける。

スタッフは快く指輪を出してくれた。

凛華子は大事にその指輪をはめてみる。

「どう?」

「めっちゃええやん!それにしい!買っておいで!楽しみにしてるから!」

フェイスタイムが切れた。

凛華子はその指輪を購入し、新居に戻り、箱を開け、写メを撮り

つけたところをおくった。

「大切にします」

「おう!似合ってるから!」

(気を遣わせたな)

そう思う。こころの痞えが取れない。

(なんで失くしたりしたんやろ)

大切に3つ目に買ってもらったリングを触りながら、想いを馳せる。

 

数日後、洗濯を干そうと洗濯物を出そうと出していた。

(カラン)

何かが音を立てた。

(え?)

ペアリングだ。

(あんなに探したのに?)

あった。泣きそうだった。

(また、大翔と繋がった)

こころからそう思った。

 

凛華子が家を出て行く1週間程前の出来事。

【繋がった】なんて思ったのは違った。

【壊した】のは【あたし自身】じゃん。

泪は止まらない。

 

次の朝、カードキーを返しに大翔の部屋を訪れた。

(会いたくないって言われたな。消えろって)

ポストに入れようか。

けれど、身体はインターホンを鳴らす。

【会いたい】

自分勝手なのは分かってる。

ただ、大翔を本当に好きだったこと、愛していたことだけは

伝えたかった。ちゃんと目を見て。

大翔は聞きたくないし、受け入れてもくれないだろう。

けれど、気持ちに嘘はつけなかったし

同じ終わるなら、気持ちを伝えたかった。

(未練がましい、自分勝手、しつこいな、あたし)

会ってもらえないかもしれない。

その時は諦めよう。そこまで嫌われ、拒否されること。

傷つけた事実は変わらないのだから。

自分のせいだ。

カッコ悪くても、今そんなプライドはいらない。

気持ちは伝えたい。

【後悔】はしたくない。

こんなに好きになったことはないし、

人を愛したこともない。

手放したのは自分。

たとえ最後受け入れられなくても

会ってもらえなくても

気持ちは必ず伝える。

揺らぐものはなかったし、ブレもない。

 

大翔が出てきた。

「何の用?」表情が冷たい。目も合わせない。

「鍵、返そうと思って。」

「じゃ、渡して。ないと困る。」

鍵を渡す。沈黙が続く。

「帰れば?」

「帰りたくない。」

「何言ってんの?」

「まだ自分の気持ち言ってない。」

「知らんよ、出て行ったんはそっちでしょ。」

冷たい。でも引き下がれない。

(説明なんていらない)

「好きな気持ちは変わらない。」

沈黙が続く。

「じゃ、何で出て行ったの?ほんまに出て行くとは思わんかったわ」

「そうやね、それくらい腹立たしかたったし、許せなかった。」

「そか。」

 

今、目の前に凛華子がいる。

「消えろ、もう会いにくるな」

なんてひどいことを言ったのか、ひどく【後悔】していた。

それでも凛華子は会いに来てくれた。

ただ、会いたかった。

【後悔】しかなかった。

「許せなかった」という凛華子の言葉。

こころに刺さる。

今はただ、凛華子を抱きしめたかった。

 

けれど、できない。

【葛藤】だけが渦巻く。

手が、身体が凛華子を引き寄せる。

「もう引き返せないよ。」

そう凛華子に囁く。

 

(繋がった)

凛華子は翔の背中に手を回して離さなかった。

 

 

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