ナツのsorary

小説 おしゃれ 携帯やブログ設定など連載中です!

PRIDE 真実の愛~二人の覚悟【大翔の場合】~ 【ネット小説】

「もう引き返せないよ。」

大翔は、凛華子にそう伝えたけれど

それは、自分への想いを確かなものに

言い聞かせるものでもあった。

【覚悟】。

【凛華子と一緒にいる覚悟】。

【凛華子と生きていく覚悟】。

これらを簡単に【選択】し【決断】した訳ではなかった。

 

まだ離婚調停中の身であること。

元カノは別れたものの彼女の中で

どれくらいきちんと整理し

納得できたものかは分からない。

 

嫁さんの言葉が蘇る。

「もし、また気持ちが戻ったなら、一緒に育てよ。」

本心だろう。本当にそう思う。

シングルマザーになり、不安が大きいことは

俺の想像を超えるものだろう。

不貞行為をしたにも関わらず

彼女はどうしてそこまで俺を許そうとし

受け入れようとしてくれるのか。

【母親】としてのプライドか。

【奥さん】であったことへの【プライド】か。

【父親】であることで必要としてくれるのか。

 

ただ、今の俺の想いは空っぽだ。

気にならないといえば嘘になる。

【子ども】は、ミナトは決して悪くない。

【犠牲】だ。

ココロが痛む。

 

「いつまでもパパはパパでママであることは変わらないよ。」

その言葉やミナトが大きくなり

少し歩けるようになった姿の動画には元気づけられた。

心底可愛いと思えたし、嬉しかった。

偽りはない。

 

元カノは【プライド】が許さなかったのかもしれない。

決して離れることはないだろうと。

奥さんから奪った人。私は選ばれた人。

少なくとも奥さんに比べ、若さも美しさも勝っていると。

勝者であると。

納得できないのも無理はない。

元カノは何でもしてくれたし

ゆうことも聞いてくれた。

「大翔のためなら。」口癖だった。

でも、それがしんどくなった。

自分の人生を見失ってた。

自分の生き方をして欲しかった。

 

凛華子はどうだ。

嫁さんとも元カノともまるで違う女性だ。

自分が思うことはストレートにぶつけてくる。

真っすぐなひとだ。ひたむきだ。

俺にはない。

俺は、どちらかといえばいい加減な生き方をする方かもしれない。

俺は、世渡り上手というべきか。

けれど、凛華子は、何事も一生懸命で手を抜こうとしない。

人のためにもそうなれる人。

それだから、生きにくいところもある。

なんとかしてやりたい、とも思う。

「俺のために何かしてる?」

と聞いたことがある。

凛華子は笑顔で答えた。

「料理やん。」

俺は(いや、それ違うんやない?)って思った。

けれど気付く。

凛華子の料理は確かに栄養面を考えて

バランス良く作られている。

手を抜かない。

「どんなの食べたい?」

さりげなく聞くけれど、そんな中で

バランスは取れているし、味も俺の好みを知っている。

いつ覚えたんやろ、とさえ思う。

甘えることを知らない。

不器用な人だ。

ぬけているところもあり、そこがいい。

完璧そうに見えて、しっかりしてそうに見えるけれど

ぬけていて、そこは俺しか知らない。

他の奴が知らなくていい。

 

いつから凛華子にここまでココロを奪われたんだろ。

 

だから、大翔は絶対に凛華子に嫌われたくなかった。

自分の過去があったとしても。

それでも、凛華子と離れたくなかった。

 

「引き返せない。」

この意味は、もう凛華子を絶対に手放したくないということ。

 

初めて見た片目の写メ。

初めて会った時、この人だなと感じた【感覚】。

声や身体、すべてが愛しいと思った時

【覚悟】に変わる。

 

必ず凛華子と一緒になる。

 

「凛華子、弁護士事務所から連絡あった!」

大翔から電話があった。

「元カノ、書類提出したって。あと、慰謝料払うって!」

(一括で?)

一括でなければ離婚しないと奥さんが提案してきていたからだ。

「そ!あとは、裁判するだけ!」

「そかそか。」

「俺は、広島やし、仕事あるからなかなか行けないから

弁護士紹介してもらうわ。」

「仲介に入ってもらうってこと?」

「そ。書類でやり取りして、裁判所には行ってもらうわ。」

(そんなんできるんや)

凛華子はしらなかった。

 

もうすぐ終わる。

早く終わらせたい。

 

翔の想いが逸る。

 

 

 にほんブログ村 恋愛ブログ