ナツのsorary

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【I know...】はじまりの序章 【ミステリー小説】

「あぁ・・・これで7人目か・・・死刑確定だろうなぁ・・・」

「ただ、あと1人、あと1人さえ殺れば、アイツは助かる」

最初から最後まで、どうでも良かった。

別に反省とか、後悔とか、そんなもの何1つない。

今の目の前に転がってる『モノ』がどこの誰か

どうやって、俺がこのモノを殺ったのかさえ、覚えてない。

ただ、ふたつ言える事は

こんな事になったのは『ヤツ』のせいだって事。

そして、もうひとつは、まだもう1人殺さなきゃいけないって事。

これがいつ終わるのかさえ、わからない。

散った桜が俺と目の前の『モノ』の上に散っていく。

もうすぐ春が終わる・・・。

 

「ただいまーー!」玄関から大きな声と、いつもの声が『にぎやか』を

連れて帰ってきた。

「た・だ・い・まっ!」

「聞こえてるから!笑」

「だって、ソラおかえりって言ってくれないじゃーん!」

「おかえり、今日もナツノはご機嫌さんだね。」

「うん!!!今日のご飯は何にしよっかなぁー♪」

いつもの会話にいつもの雰囲気、何も変わらない様子だった。

「ねぇ、ソラ、お迎えさんに誰か引っ越してきた、みたいだよー」

「へぇ~」

「なんかねぇ、結構若い感じのキレイな人だったよー」

「へぇ~」

「ソラ、その女の人に浮気したりしたら嫌だからねぇー!」

「へぇ~」

「ねぇ・・・!!!!聞いてる???」

「へぇ~」

「ねぇってば!!!」

目の前のゲーム画面が真っ暗になった

「あああああああああああああああああっ!!!!!!ウソ!?

ええええ、ウソだろぉぉぉー!?」

「浮気しちゃ、嫌だからねっ!したら、泣くから!」

「しないよってか、俺が泣きたいわ!いいとこだったのに・・・」

いつもと何も変わらないそんな賑やかな会話が心地良かった。

「ねぇ、明日ノリコが、旦那さんの誕生日プレゼント選びたいから

付き合ってほしいって言ってるんだけど、行ってきていい?

「どぞどぞー、永遠にどうぞー」

「もうっ!夕方までには帰ってくるからねっ♪!」

「はいよー」

 

次の朝、ナツノは朝早くから出ていった。

「夕方までには帰ってくるからねー!」

「わかったよ。ノリコちゃんによろしくね。」

「じゃ、いってきまーすっ!」

その数十秒後、インターホンが鳴った。

「どしたの?わすれもの」

目の前に立っていたのは、ナツノではなかった。

「あっ!すいません。どちら様でしょうか?」

髪の長い、スラっとした。キレイな女性だ。

「迎えに引っ越してきたものです。久しぶりだね、ソラ」

「えっ??」どこの誰か、まったくわからなかった。

「わたしよ、わたし!リナ!」

リナと言われても、わからない。でも、目の前の

このリナという女性は、俺を知ってる。

自分の頭の中で必死に思い出を振り返ってみるけど

こんな女性は知らない・・・。

「もうっ!忘れちゃったの!?あんな事あったのに・・・」

「えっ・・・?」こいつは何を言ってるんだ。

それとも、俺が本当に覚えてないだけなのか。

「忘れたならいいや、どうせすぐ思い出すよ!」

「えっ??」もう、俺は「えっ?」しか言ってない。

なぜ『すぐ』なのか、なぜ俺は覚えていないのか

なぜ、思い出せないのか。そんな事ばかり考えていた。

「じゃあ、これからご近所さんだから、よろしくね!ソラ!」

「はぁ・・・」もう何も言えなかった。

あんな人知り合いにいたかなぁ。しかも『あんな事』って

俺はいったい、いつどこで、あの人に何をしたんだろうか・・・

でも、あの『リナ』という女性は、俺を知っている・・・

それからその日は、いつものゲームもあまり手につかなかった。

「ただいまーっ!」

(あんな事って、俺何したんだろ。まさか・・・ないよなぁ・・・)

「ただいまーー!」

(なんで、俺覚えてないのかな・・・まさか、酒に酔ってなんかしたか?)

「た・だ・い・ま!」

(しかも、何で呼び捨て・・・やっぱり、なんかしたのかな・・・)

「もうっ!!ただいまーって言ってるでしょおおおおお」

「うわっ!びっくりした!ごめん、おかえり」

いつものソラじゃない事をナツノはすぐわかった様だった。

「どしたの?考え事、何かあったの?」

(今日の事、話したらまた、ナツノを心配させちゃうな・・・)

「いや、大丈夫だよ。仕事の事考えてただけだよ!それより

いいプレゼントはみつかった?」

「うん!ノリコも大満足ぽかったよー!」

「そか、ならよかったね!ってか、今日お迎えさんがご挨拶にきたよ!」

「へぇ・・・なにもなかったでしょうね!?」

「ないから・・・ほんと心配症だなぁ・・・」

「なら、よし!えらいえらい!」

「何様だっつぅーの!」

特に気にもしなかった。気にもならなかった。

ナツノにも話さなくていいと思った。

 

本当に話さなくてよかったと、今でも思う。

 

 

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