ナツのsorary

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【I know...】はじまり 【ミステリー小説】

「はぁ・・・今日も疲れた。」

電車に揺られながら帰る道のりはいつも、家までが遠くに感じた。

やっと最寄り駅に着き、そこから家までの道のりは10分程かかった。

「あ!ソラ!」

聞きなれない声が後ろの方から、聞こえてきた。

お隣さんだった。名前すら知らない。

「今、帰り?お仕事お疲れ様♪」この笑顔を本当に俺は知らない。

「こんばんは。あの、この前もお尋ねしたんですが、僕たちいつ

知り合ったんでしょうか?あと、あんな事って僕なにかしましたか?」

「本当に覚えてないの?」

彼女の表情が変わった。

「なんで覚えてないの?」

なんで・・・?こっちが聞きたい。

「すいません、本当に覚えてなくて申し訳ないです。」

「あっそ、そうなんだ。」

この時、彼女の表情が【無】になっていた。なにもなかった。

駅からでてずっと、立ち話だったのでここで、話を終わらそうと

俺は立ち去るように歩き出した。その時だった。

急に腕を掴まれ、身体を引き寄せられ抱きしめられた。

訳が分からず、立ち尽くしてしまった。

「すぐに思い出させてあげる」

 

「えっ?」

 

この【オンナ】が怖くてしょうがなかった。でも、どうしていいかも

わからなかった。気がつけば【オンナ】は走り去っていた。

そのまま帰るしか選択肢はなかった。

「ただいま・・・」

「おかえりーーー!」にぎやかを連れてお出迎えしてくれた。

ただ、さっきの事もあり、さすがに対応できなかった。

「・・・どうしたの?なにかあった?」

「いや、なんでもないよ。少し疲れたかな?」

せいいっぱいの笑顔で答えたつもりだった・・・。

「お風呂はいっておいで、上着なおしておくよ。かして?」

どうしていいかわからず、ぶっきらぼうな渡し方だったかもしれない。

「ありがとう、ごめんね。」

カチャー。何か音がした気がした。

「何の音だろ。」ナツノがポケットに手をいれていた。

俺には、何かわからなかったが。嫌な予感がした。

「え・・・これ。何?誰の?」

出てきたのは、家の鍵とリップクリームだった。

俺もナツノもリップクリームはつけない。

「え・・・なんだろ。なんで入ってるんだろ?」

「いやいや、あたしが聞いてるんじゃん。なによコレ!?」

明らかに女性が持っていそうなリップクリームだった。

「ごめん、本当にわかんない・・・」

「今日、仕事だったんじゃないの?誰かにリップクリームかりたの?」

「仕事だったよ?かりてないよ。」

「じゃあ、何よコレ?誰のよ?」

いっぱい聞かないでくれ、俺もわからないよ。

「ねぇ!何か言ってよ?不安になるじゃん!」

ナツノの高い声が部屋に響く。これで何か言って信じるのか?

 

ただ、俺はこのリップクリームを知っている・・・

 

ただ、なぜこれがここにあるのか、なぜ俺のポケットに入っているのか

全く見当がつかなかった。

ただ、そんな事より今はこの状況をどうにかしないといけない。

「ごめん、本当にわからないんよ。電車に乗ってたしかなり混んでたから

誰かが、落としたのがポケットに入ったのかも・・・。」

「そう・・・」お互いこれ以上話し合っても意味がない事はわかっていた。

でも、どうしても納得できないのも事実。

でも、話し合いをしても意味がないのも事実。

 

お風呂に入りながら考えることは1つ。なぜ【アノ】リップクリームが

俺のポケットに入っているのか・・・。

「ねぇ、ソラ聞こえる?」

お風呂場のすりガラスから、ナツノが見えた。

「どした?」

「あのリップやっぱり、電車とかそんなんじゃないでしょ・・・」

「いや、だから・・・ほんとうにしら」知らないんだってって言おうとした。

「あのリップ、かなり前のものっぽいけど?だいぶ使ってないよ?

ちょっと使った跡はあるけど、先端が変色してたもん」

「誰のやつよ、ずっと前からもってたんじゃないの?」

いいかげんにしてほしかった。

「本当に知らないって!!!」1人になりたかった。

「わかった。」

俺は今までにナツノと結婚してから浮気など1回もした事がない。

疑われる事も1度もない。なのに、なぜこんなにしつこい。

それは、俺じゃなくてナツノがしてるからじゃないのか?

そんな考えさえ浮かんでくる。

 

でも、今はそんな事はもういい。【アノ】リップクリーム

ありふれてるリップクリームなのには間違いない

でも、たくさんある、リップクリームの中で

なぜ、【アノ】リップクリームが【自分】のポケットに

入っていたのか、わからない。

 

アイツはもう、3年前に死んだ・・・

 

俺が殺したんだ・・・

 

 

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