ナツのsorary

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【I know...】結びつくもの 【ミステリー小説】

ナツノが出ていってから、数日が経とうとしていた。

電話にも出ないし、向こうからもなかった。

仕事には行っていたけど、上の空だったのは言うまでもない。

俺は、リップクリームの事と写真の事ばかり考えていた。

あの後、色々考えていたけどわかった事は1つしかない。

俺のポケットにリップクリームを入れていたのは、あの【オンナ】。

それしかわからない。ただ、だとしても

なぜ、あの【オンナ】が俺の過去を知っているのか

なぜ、あのリップクリームで、俺があの【オンナ】の事を

思い出すのか、結びつく要素が一切なかった。

そして、あの写真はどこから手に入れたのか。

 

もう、これは直接本人に聞きにいくしかないと思った。

 

ピンポーンー

何か物音のような音がした気がしたけど、出てこない。

ピンポーンー

中にいる様な気がしたので、もう1度インターホンを鳴らしてみた。

「はいー」少し機嫌の悪そうな声が中から聞こえてきた。

「迎えの者ですけど。」

扉が開くと、【オンナ】がでてきた。

ドア開けた手で少し気になったのが、手首が異様に赤くなっていた。

「あら、こんにちは。」

「どうも。」

「今、少し立て込んでるんだけど、何か用事?」

「なぜ、あんなものいれた?」

「あんなもの? あーリップの事か」

「あと、あの写真はどこで手に入れた?」

「んー、明日でもいい?今、忙しいの」

部屋の奥で物音が聞こえてくる。

「明日、夜にそちらにお伺いするわね」

「わかった。21時には帰ってるからそれ以降に来てくれ」

「じゃ。」

扉が閉まると同時に部屋の中で、また物音がした。

子どもでもいるんだろうか。

 

部屋に戻り、あの写真をまた見ていた。

そして、リップクリーム。

 

このリップクリームを見ていると3年前を思い出す。

俺は3年前に、1人の女性と交際していた。

彼女とは、うまくいってるつもりだった。

ただ、彼女は教員の仕事をし、ある子どものクラスを

請け負っていた。その子はまったく笑う事がなく。複数人から

いじめを受けている子どもだった。何度も何度もその子と

話をし、いじめをしている子どもたちにも話をし、幾度となく

和解をしようとしていた。彼女は口下手で、よく唇が乾燥していた。

その時の際に、リップクリームをよくつかっていた。

 

一度もいじめは止むことはなく。その子どもは最後、自ら命を絶った。

そして、そのいじめられていた親から、いじめていた親から

そして、学校からも彼女が1人が責められる結果になってしまった。

幾度となく、俺自身も彼女を励ましたり、ストレス発散の為に

でかけたりした。でも、ダメだった。

彼女もその子どもと、同じ道をいってしまった・・・

 

俺はかなり引きずっていた。どうしてあの時俺はもっと

彼女と話をしなかったのか、どうして俺はもっと・・・

俺が殺したようなもんだった・・・そう思えてしかたなかった。

そんな日々を何か月も過ごしていた。

 

その1年後ぐらいに、ナツノと出会って今に至る。

あの【オンナ】とは、まったく繋がりはない。

 

ただ、向こうは俺を知っている・・・

言葉に言い表せない恐怖があった。

有名人でもない限り、こっちが知らなくて相手が知っている事など

ありえない。俺は、有名人でもなんでもない。

 

明日、すべてがわかる気がした。楽しみでもあり

怖くもあった。

 

次の日、俺は仕事をはやめに切り上げ、20時前には家にいた。

相変わらず、ナツノとは連絡をとっていない。

 

そして、約束の時間・・・

 

21時を過ぎようとしていた頃、俺の電話が鳴った。

 


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