【I know...】 恐怖 【ミステリー小説】
電話はナツノからだった。嬉しい反面なぜこのタイミング
とは、思ったが電話にでた。
「ナツノ、今どこ?」
何も声は聞こえてこない。
「ナツノ?」
ゴソゴソと物音だけがかすかに聞こえた。
「おーい、ナツノー」
ポケットの中で、電話があたっただけなのか?
よくわからない状態なので、電話をとりあえず切った。
あの【オンナ】も来ないし、電話もよくわからない。
そう思っていると、またナツノからの電話だった。
「ナツノ?」
「ふふっ」
「え?ナツノ?」
「あはっ」
なんだこれ、ナツノなのか、どうかもよくわからない。
「あはっ、あはあはあははははははははは」
寒気がした、そしてナツノじゃない気がした。
「あんたの奥さん家にもう、帰らないってさ!」
女性の声だが、ナツノではなかった。
「誰だ?ナツノに変わってくれ!」
「なんで、なんで、なんでー?」
馬鹿にしている様なトーンで話かけてくる、苛立つ。
「もしかして、イライラしてるの?おもしろいねっ♪」
イライラしすぎて、声がでなかった。
「全然しゃべらないじゃーん、つまんなーい」
「・・・いいから、ナツノに代われ」
ただ、この声に聞き覚えがある様な気がした。
「そろそろ、誰かわかったかな?あたしよ、あたし、リーナ♪」
やっぱりコイツか。
「お前、俺の家に来るんじゃなかったのか?説明するんだろ?」
「そのつもりだったんだけど、ナツノちゃんが行ってほしくないってー」
「なんで、そうなる。もういい、とりあえずナツノに代われ」
2人がなぜ知り合ったのか、どうして一緒なのか。
「ナツノちゃん、どうする?話する?」
遠くでそう話しているのが、聞こえた。
「嫌だってさーてか、むしろもう会いたくないってさー」
俺は、話ながら出かける準備をしていた。
どうせ、迎えの家にいるんだ、直接行ったほうが早い。
「あっ!ちなみにー家に来ても居ないからねー」
くっ・・・いちいち全てをイラつかせる【オンナ】だ。
「なら、今どこだ。」
「言うわけないじゃーん、襲われたら怖いしー」
全ての発言でイライラさせてくる。
落ち着け、落ち着け、落ち着け・・・
「わかった、なら俺と君で2人で会おう。ならいいだろ?」
「・・・え?」
以外な反応だった。もっとイライラさせてくるのかと思った。
「え?2人で話をしよう。2人ならいいだろ?」
「・・・いいけど、結構遠いから時間かかるよ?」
「構わないよ、待ってる」
「え・・・いいの?」
「いいよ。」
今までと違う反応、なんだかよくわからない。
「怒ったりしない?」
「なんで、怒る必要があるんだ。ナツノが君に会いにいったんだろ?」
「君はナツノの話し相手になってくれたんだろ?」
「怒る必要はないだろ、むしろ感謝してる」
「ナツノナツノナツノナツノって、ナツノばっかじゃん。」
「あああああああああああ、イライラすんなぁ!!!!」
もう、こいつの人格がわからなくなってきた。
でも、ここで話を聞かないわけにもいかなかった。
「ごめんね、そういうつもりじゃないんだよ?迷惑かけたから
申し訳ないなって思ってるだけだよ?」
「なら、もうコイツはどうでもいいよね?別れてもいいよね?」
なぜ、そうなる・・・
「それは、俺とナツノできちんと話をするよ。」
「もしも、ナツノが君と俺とで3人で話をしたいって言うんだったら
それでも、構わない。相談を受けてくれたんだしね。」
「そっか、なら話し合いができたらいいわけよね。わかった。
今から、スピーカーにするから、話しよ」
納得はいかなかったが、もうそうするしかなかった。
「もしもし、ナツノ?」
「もしもし?」
何か遠くで話をしている声が聞こえるだけで、はっきりこちらには
何も聞こえてこない。
「おーい、ナツノー」
「・・・・・・・・・・・・・・・て」
「え?ごめんよく聞こえない」
電話の向こうで大きな音がした。
「たすけて!!!!!!!!!!ソラーーーーー!!!!」
「え?ナツノ?」
また、後ろで大きな音がした。