ナツのsorary

小説 おしゃれ 携帯やブログ設定など連載中です!

PRIDE 求めすぎてた【幸せ】 【ネット小説】

ご飯を一緒に食べること。

一緒に眠ること。

一緒に朝を迎えること。

手を繋ぐこと。

抱きしめあう事。

ただ、それだけで良かった。

(求めすぎたのかもしれない。)

(多くを望み過ぎたのかもしれない。)

凛華子は思う。

 

誰にも祝福してもらえない恋だと分かってた。

誰にも理解してもらえない想いだって分かってた。

【覚悟】が足りなかったの?

凛華子は自分に問いかける。

 

笑顔で笑い合える日もある。

大声で笑う日もある。

思いっきり甘えることもある。

 

でも、それ以上に怖いことがある。

言葉を選ぶ。慎重に。

言葉は時として凶器だ。

 

こころに刺さる。

 

「イライラさせんな、ほんまに。」

大翔は言う。

「怒らせる方が悪いんよ。」

(そか。)

怒らせようとしてたんだ。

初めて気づく。

じゃ、何度、怒られるせた?

じゃ、今までの彼女たちは

怒らせなかったの?

 

聞きたい。

聞けない。

【過去には触れない】

凛華子の中で、大翔の中での【約束】。

 

リーがゴロゴロと喉を鳴らせる。

凛華子たちには、子どもに恵まれていなかったから

リーとクー、猫2匹が家にいた。

 

リーとクーはいつも一緒。

クーはいつもリーを毛づくろいしてやっている。

「お前ら、ほんま仲ええな。羨ましいわ(笑)。」

大翔は笑いながらよく言ってたっけ。

サラはチチワで、ペットを3匹飼ってた。

みんな可愛かった。

本当に子どもみたいだった。

 

大翔とリーとクーとサラと過ごす時間が

本当に大好きだった。

【家族】だなって思ってた。

(これ以上、何もいらない。)

(もう何も壊れないで。)

そういつも願ってたのに。

 

 

 

結婚しても凛華子から【過去】は消えることはなかった。

大翔の過去。

頭では分かってる。

選んでくれたのは私自身。

でも、元奥さんには子どもがいた。

あたしにはいない。

元カノはキレイで若かった。

あたしにその若さと美貌はない。

(どうしてあたしだったんだろう。)

この疑問が、不安が消えることはなかった。

女性としてダメな気がした。

 

子どもを産むこと。

授かること。

当たり前のような世の中。

勿論、今不妊治療をしている夫婦や

不妊症で悩む女性はどれだけ多いことだろうか。

言葉にはしないけれど

その心は女性としてのプライドや

自尊心でさえ傷つけられることもある。

 

(あたしが弱いの?)

凛華子は思う。

「子ども、いなくても俺は平気よ。(笑)。」

大翔は笑う。

「こんな可愛い子どもら3人おるしな(笑)。」

そんな大翔を見ると

そうやなってうなづくけれど

心が苦しくなる。

 

あのおもちゃ屋さんで見た大翔の姿。

おもちゃを選ぶ姿は【父親】そのものだったから。

頭から離れない。

目に焼き付いて忘れられないでいた。

 

(子どもがいないことに苦しいわけ?)

それだけじゃない。

 

元カノの声、顔を覚えていること。

最後に元カノに会って

その1年後に彼女は子どもを産んでいる。

勿論、結婚して、相手もいた。

裁判中に妊娠が分かり

結婚したらしい。

気にしてないと言えば嘘になる。

けれど確かめようもない。

そうだったとしても

もう、今更だ。

 

凛華子は崩れていく自分を必死で隠す。

(求めて、望んだからこうなったの?)

大翔を信じたい。

信じたから結婚もした。

幸せになりたかった。

優しくしてほしかった。

 

誰みたいに?

元奥さんみたいに?

元カノみたいに?

 

(あー、あたしは)

【覚悟】が足りなかったんだ。

そう自覚する。

 

「怒らせてる」「イライラさせんな」

(言われても仕方ないか。自業自得?)

 

もう分からない。

分かるのは

【求めすぎてた幸せ】だけ。

求めるだけで

大翔を幸せにすることをしようとしていなかったことに

気づかされる。

 

幸せになるための方法を

凛華子は探す。

 


 にほんブログ村 恋愛ブログ