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PRIDE バースデーケーキ 【ネット小説】

凛華子は探す。

【幸せ】の意味を。

 

【幸せ】の【カタチ】。

凛華子が大翔に表す【カタチ】。

 

大翔はたくさん凛華子に示してくれる。

「大好きだよ。」

「愛してるよ。」

「離れんとって。」

「ずっと傍におるから。」

たくさんの言葉たち。

凛華子はどれだけ救われたことだろう。

 

凛華子はどれだけ大翔に言葉をかけた?

考える。

「凛華子は俺が言うまで気持ちを言わないね。」

大翔は言ってた。

それだけ不安にさせたんじゃない?

言わなかったのは想ってないからじゃない。

簡単に言えないから。

少なくとも凛華子はそう思ってる。

言葉の重さ。

それを考えてたから。

 

けれど、大翔の言葉に実際救われてた。

安堵していた。

伝えてれば良かった。

「好きだよ。傍にいて。」

素直に。真っすぐに。

大翔に言葉にするべきだった。

 

【言葉】は難しい。

相手の表情、しぐさ、言動。

【言葉】は大きく作用する。

 

大翔は真っすぐ、ストレートにものを言う。

そういう点は羨ましくもあり

凛華子にはないところだ。

だから惹かれたのだろう。

 

真っすぐに想いを伝える大翔は

凛華子のこころを持っていく。

 

【伝えなきゃ】

凛華子は想う。

 

(凛華子、あまり笑わなくなったな)

仕事の手を止め、ふと思う。

たまに何を考えているのか分からなくなる。

そんな凛華子にイライラする。

何でも言って欲しい。夫婦なんだから。

もっと頼って欲しい。夫なんだから。

(俺、頼りないんかな。)

手は止まったままだ。

ふと、我に返り

(仕事、仕事!帰ったら凛華子もみんなおるしな!)

大翔は仕事に戻った。

 

2月4日。

凛華子の誕生日。

大翔はケーキを注文していた。

休憩中にケーキを取りに行く。

可愛いローソクも付けてもらった。

プレートには

[ハッピーバースデー RIKAKO]

(喜んでくれたらええな)

大事にケーキを持ち、車に乗り込んだ。

 

仕事も終わり、家に着いた。

「ただいま。」

「おかえり。」

凛華子のいつもの声。

サラはワンワンを元気よく鳴いている。

「おかえり!」と言っているようだ。

リーとクーはソファーで横になっていた。

「ケーキ買ってきた!」

(え?)

(あんまり喜んでない?驚いてるだけ?)

「ありがと!後で食べよ!」

凛華子はケーキをすぐに冷蔵庫にしまった。

 

多分、それが俺は気に入らなかったんだ。

せっかく買ってきたケーキ。

サプライズのケーキ。

すぐに見て欲しかったんだ。

 

大翔がケーキを買ってきてくれた。

サプライズだ。

大事にしないと。

後で、ゆっくり話しながらみて

一緒に写メ撮ろう。記念に。

感謝しなきゃ。

また、大翔にしてもらったな。

ありがと、大翔。

 

「あのさ。」

大翔が不機嫌な声で凛華子に話しかける。

(あたしまた怒らせた?)

「なに?」

「いや、もうええわ。」

(いつもの台詞だ。言わない。)

この後はだいたい大喧嘩。

お互いそれはよく分かってる。

「ええことないやん。どしたん?」

「いや、ほんまもうええって。」

(これは言うまで聞くべきか)

そうでないと空気に耐えられそうにない。

聞くにしろ、聞かないにしろ、同じだけれど。

「何か、最近何考えてるか分からんわ。」

(言ってしまった)

(そか。)

凛華子は返す言葉が見つからない。

「何考えてるん?」

「特に変わりないよ?」

「だってあんまり笑わんやん。」

(あー、そのことか。)

伝えなきゃ。

【自分の気持ち】

「いつも元気じゃないとダメなん?」

「そうやないけど、こっちもどうしてええか分からんやろ。」

返す言葉もない。

「ご飯どうする?」

「いや、ええわ。」

 

凛華子の中で何かが壊れた。

キッチンへ向かう。

作った料理をすべて三角コーナーに捨ててしまった。

自分の行動が止められなかった。

気付いた時には

大翔が凛華子が持っていた小鍋を

片手で抑えつけていた。

「凛華子、分かったから。」

 

凛華子は料理を作るのがとても好きで

俺に食べてもらうのが本当に好きだった。

そんな凛華子が料理を全部捨てるなんて。

凛華子が何をしたのか一瞬分からなかった。

(なんてことしたんだ)

凛華子を抱きしめる。

 

大翔は買ってきたケーキを取り出し

ローソクに火をつけた。

「誕生日、おめでとう」

凛華子を見る。

「ありがとう。」

凛華子の目は俺を見てはいなかったんだ。

 

【覚悟】を俺は出来てなかったのかもしれない。

大翔は思う。

認めたくはない。

俺の【覚悟】はこんな簡単じゃない。

大翔は凛華子の目を見て思うのだった。

 

すれ違う二人の想いが

繋がれた想いが

繋いだ手が

離れないように。

 

 

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