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PRIDE【幸せのカタチ】を創るもの 【ネット小説】

(親に連絡するん何年ぶりやろ)

スマホを手にして、大翔はアイコスを吸っていた。

大翔の母親からはメールはたまに入っていた。

「誕生日おめでとう。」「元気にしていますか。」「仕事はどう?」

どれも短文でどう返信していいものか分からなかった。

 

凛華子と式を挙げることを決めてから

両親と連絡を取ることにした。

凛華子と俺の両親は面識が全くない。

俺と凛華子の両親はある。

列席してもらうのに、凛華子のことを考えたり

凛華子の両親の想いも考えるとやはり連絡をするべきだと

大翔は思った。

「元気にしていますか?」送信。

(俺も短文やんか)

(おかんと一緒か(笑))

メールを送信すると大翔は仕事場に戻った。

 

その夜、母親から返信があった。

「元気よ。大翔はどうしてるん?」

(まず、結婚したこと言わないと)

「結婚した」送信。

返事はなかった。一週間経っても返信はなかった。

 

一週間後、母親から返信があった。

「どんな人?」

(メールより電話が早いか?)

けれど、離婚したことの詳細を両親は知らない。

【真実】を両親は知らない。

(どう伝えよう。まずはやっぱりメールやな)

「俺より10歳年上の人。料理が上手くて、綺麗な人。」送信。

こんな文章で凛華子のことを簡単に分かって欲しくなかった。

もっと知って欲しかった。

「どうやって知り合ったの?いつ?あんた離婚したでしょ?」

(ほら、そうきた)

誤解が生まれそうだ。

凛華子にだけはその矛先を向けたくはない。

「職場で知り合った。お客さんだよ。」

すぐさま「大切な人なんだ。本当に大切にしたい。」送信。

本心だった。これ以上いろいろ詮索しないで欲しかった。

俺を責めるのは構わない。

けれど、凛華子は違う。

(凛華子は守りぬく)

大翔は覚悟した。

 

「凛華子と式を挙げようと思ってます。」

大翔は凛華子の実家に来ていた。スーツを着て。

「え?」凛華子のお父さんもお母さんも驚いている。

「どうして?式っていっても誰を呼ぶの?」

凛華子のお母さんが言ってきた。

想定内だった。

「身内だけにしようと思ってます。」

沈黙が続く。

「大翔くんのご両親には?」凛華子のお父さんが聞く。

「今、連絡を取っています。」

「そうか、じゃ、連絡を待とう。まだご両親にも

お会いしていないから。」

凛華子のお父さんは優しく笑う。

凛華子のお母さんの表情は少しこわばっていた。

 

(すべて想定内や)

大翔は自分に言い聞かせる。

誰からも祝福されないかもしれない。

受け入れてもらえないかもしれない。

そう、想定内。

でも、これから花嫁になる凛華子を考えると胸が締め付けられる。

 

母親からメール。

「あなたたちが勝手に決めた結婚でしょ。勝手にしなさい。」

式の話を切り出すまでもなかった。

凛華子の両親に会うこともない。

自分の【過去】を悔やむ。

初めて自分の人生を後悔した。

 

凛華子は式場を見たことだけで満足だった。

十分すぎるほど幸せだった。

これから起きるであろうこともだいたい把握できていた。

だから、何を言われても【覚悟】はしていたし

(そんなもんだ)とさえ思っていた。

大切なのは二人の気持ちで

二人で【覚悟】して生きていくことを【選択】したこと。

そこのブレさえなければ、大丈夫。

もう壊れることはない、と思っていた。

あたしは大翔を守るし

大翔はあたしを守ってくれると思った。

乗り越えられるという自信もあった。

 

誰からも祝福される【結婚】。

当たり前なのかもしれないけれど、

夫婦にいろんなカタチがあるように

【結婚】が誰からも祝福されることが【幸せ】だとは

言い切れないように思う。

いつか祝福される時がくれば望ましいけれど、それも困難な時

二人が【幸せ】な【カタチ】を作っていけばいいと思う。

 

【式】も同じ。

みんなからの祝福は嬉しいし、盛大なものであろう。

けれど【二人】が創り上げる【式】もあって素敵だと思う。

心に残る、感動的な、二人の誓いの【式】。

【カタチ】を創ることが大切なんじゃないかと思う。

 

大翔が言う。

「あのさ。」

凛華子が言う。

「あのね。」

「なに?先ゆうて(笑)。」

「いや、先ゆうたんパパやん。」

「そやね。式のこと。」

「あたしも。」

「じゃ、付き合った時みたいにせーのでゆうか(笑)。」

「6文字!」

「6文字?俺は8文字なんやけど・・」

(もうやめない?)

大翔は思う。

(もうやらんとくか?)

凛華子は思う。

二人で下を向いた。

大翔は顔を上げて「せーの」
「「ふたりでやろ!うか!」

「同じやし!」

「良かった(笑)。」

 

大翔は凛華子を抱きしめた。

(大丈夫)

そう言い聞かせて。

 

 

 

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