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鳴けない小鳥 ~求められたい人~ ネット小説【鳥籠の中の私】

好きだから【結婚】した。

愛しているから【結婚】した。

一生添い遂げようと思い、【覚悟】し【決意】して【結婚】した。

 

一生添い遂げるということ。

一生そばにいるということ。

【夫婦】になるということ。

【家族】になるということ。

 

それは、二人の関係を【安心】させるものでもあるし

【安定】させるものでもある。

【ココロ】の【安らぎ】なのかもしれない。

 

夫婦になったことで

【安らぎ】があることで

愛する気持ちが減ったわけではない。

けれど、物足りなさは感じてしまう。

恋人の時のような、情熱的な感情が

モチベーションがいつもあるわけではない。

 

当たり前なのかもしれないし

それを求め続けることは難しいことなのかもしれない。

 

けれど、勝手なもので、【求められたい】とは思うものだ。

求めるよりも【求められたい】と人は思う。

 

蓮司は化粧をしている京香を見ていた。

結婚しても、京香はいつまでも綺麗だった。

淡いチークを塗り、ピンクベージュのグロスを薄くひく。

京香はメイクに時間をかけないし

メイクはほぼ素肌に近い。

顔立ちは整っている。

蓮司は京香がメイクをしている姿を見るのが好きだった。

何より女性らしいし、艶感があった。

鏡に顔を近づけ、薄くグロスをひく姿が一番好きだった。

 

蓮司はふと思うことがあった。

京香は本当に俺を愛しているのかと‥。

結婚して、京香から想いを口にすることが少ない気がしていたからだった。

蓮司は想いを言葉にする。

「好きだよ、愛している、綺麗だよ、可愛いね。」

そういう言葉にも京香はあまり反応を示さない。

「言うことに慣れているのね。」

なんて言うこともある。

 

誰にでも言えることではないし

冗談で言える言葉なんかじゃない。

京香は分かってくれていない気がした。

自分の想いが伝わっていない気がした。

結婚しても、想いは強くなるばかりだということに‥。

 

結婚したからといって

【夫婦】になれたからといって

恋人のような感覚を蓮司は忘れたくなかったし

必要なことだとも思っていた。

結婚しても、求め合いたかった。

 

京香は自分がどうすればいいのか知っていた。

それは、俺の顔色を伺うことだったのかもしれないし

【夫婦関係】をうまくいかせるための手段だったのかもしれない。

想いを言わないのは

【言わない】のではなく

【言わせない】ように俺がしているのかもしれない。

蓮司はそう思う時がある。

 

可愛い人、愛している人を

失いたくはない。

だから

「どうかどこにも行かないで」といつも願うのだ。

そばにいて欲しい、ずっと、と‥。

 

京香は「どこにも行かないよ。」と

笑顔で応えてくれる。

 

この時は

どこへも行けない京香の想いに気付くはずもなかった。

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