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【幸せの意味】と【哀しみの意味】 ~光を目指して~ ネット小説【鳥籠の中の私】

【当たり前の日常】を失うこと。

それは失望と絶望でしかないのだうか。

果たして本当にそうだろうか。

 

望みは失ってたとしても

絶たれたわけではないということ。

これから何を望み

これから生きて行くのかは自分で変えていけるということ。

それに気づくのはもう少し後のこと・・。

 

 

【幸せの意味】を考える。

誰の?

幸せってなんだっけ?

【ふたりで生きていく】って決めたんでしょ?

誰と?

目を閉じる。

静かな部屋の中、雨の音だけが聞こえる部屋の中で耳を澄ます。

 

あたしは蓮司と生きて行くことを選択し

共に生きていくことを決断した。

そのための【覚悟】ならなんでもしようと思った。

それが【結婚】することなんだと思った。

共に生きるとは生活を共にすることでもある。

生活は生きていくことでもある。

【許すこと】をしなければ共に生きていけない。

けれど【許す】ことは難しい。

自分を許すことも難しいのだから・・。

 

蓮司からきたライン。

「子どもができた」

返信はしなかった。

 言葉がなかったし、見つからなかった。

怒りもなかった。

あったのは、【哀しみ】だった。

(どうしてあたしじゃなかったんだろ)

泪が溢れてくる。

蓮司の前では泪など出てこなかったのに・・。

 

「そばにいてあげて。」

その一言だけ送信した。

【これからのふたり】のことより

【これから生まれてくる命】の重さを知っているから。

それ以上のことはなかったし

子どもがいない京香にとって

子どもができない京香にとって

今【望む】ことは【新しい命】の大切さだったから。

 

京香からのラインを見て蓮司は思う。

香澄がどれだけ不安であることを分かっているのは

俺ではなく京香であること。

 

【ふたりで生きていくって決めたでしょ】

俺は、京香と喧嘩するたびに言ってきたし

自分にも問いかけた。

 

【結婚】して

この人を【守りたい】と思い

【そばにいて欲しい】と願い

【そばいにいたい】と思った。

それがずっと続くものだと思ってた。

 

「そばにいてあげて」

この言葉の意味。

守るべき人は誰なのかを京香は教えていること。

幸せにしたい人を一番哀しませてしまったこと。

自分への失望。

 それでも、守るべき人がいるということ。

【ふたりで生きていくって決めたんでしょ?】

その言葉はもう京香には届くことはないだろうと思った。

 

蓮司が今そばにいてくれているということ。

けれど、ココロは彼女を愛し続けているということ。

それは、これからも変わることは決してないだろう。

いくら求めあってもココロまでは求められない。

ココロは彼女にあるのだから。

そんなことは分かっていたのに・・。

 

そばにいても、こんなに彼が遠く

触れることはできるのに

深い哀しみに覆われてしまう。

この【哀しみ】はなぜ?

彼にそばにいて欲しいと望んだのはあたしよ?

 

それでも生きていくということ。

生きていかなきゃいけないということ。

【ひとり】で何を目指し

光はどこにあるのか。

 

雨はやみ始め、雲が少しずつゆっくりと動きだした。

(もう雨はやむかな。)

京香はカーテンから外を見上げた。

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