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再会 ~向き合わざるを得ない覚悟~ ネット小説【鳥籠の中の私】

家を出て2ケ月が過ぎようとしていた。

京香は住んでいた市を離れることにした。

なにもかもすべてやり直したかった。

やり直すというより【リセット】が必要だった。

 

京香は医療の仕事にはもともと携わりたかったので

ヘルパーの資格から取り

医療現場で介護業務の仕事に携わっていた。

とてもやりがいのある仕事だった。

 

【いのちの尊さ】を改めて知り

その【重み】を知る。

【命の誕生】とは正反対である【死】と向き合う。

 

【誕生】や【育てる】ことは喜ばれることなのに

【老いていく】ことや【死を迎える】ことは

離れようとするのはなぜなのか、と思ってしまうこともある。

 

生きていくうえで【喜び】だけではないこと。

【向き合わざるをえない】こと。

それを【覚悟】することがどれだけ大切なことなのかを思い知らされる。

 

(あたしは【覚悟】の意味を知らなかったのかもしれない)

京香は思う。

 

その日はとても晴れた日だった。

京香は、蓮司がプロポーズしてくれたカフェに足を運んでみることにした。

チャイラテが恋しくなったことと

まだあのお店があるのかとても気になってしまったから。

 

商店街を歩く。

小さなお店だけれど、お洒落なお店だった。

アンティークな家具で揃えられ、ソファーもあった。

床はオフホワイトのタイルで、壁は赤く、照明がとても綺麗だった。

出されるカフェカップもシンプルで好きだった。

 

看板を見つける。

(あった。)

黒板の看板が目印だった。

 

自動ドアが開く。京香は入った。

一番奥の席に入った。

 

目に入ったのは、蓮司の姿だった。

こんなところで会うなんて思ってもみなかった。

想像すらしていなかったから。

京香は立ち尽くしてしまった。

 

蓮司は連日の出勤からようやく解放された。

京香が出て行ってからというもの

仕事ばかりの生活をしてきた。

仕事をしていないとどうかなりそうだった。

だから、仕事をしたし、仕事もうまくいっていた。

ようやく、休日を取ろうという気分になったのは

京香が出ていって2ケ月が経った今日。

 

この日はとてもいい天気だったから

電車でカフェに向かった。

ひとりでカフェに行ったことなんてないけれど

京香にプロポーズしたところだから行きたくなった。

(まだあるだろうか)

商店街を歩き、京香のことを思いだす。

(このお店、可愛いね)

京香ははしゃいでた。

看板を見つけた。

自動ドアが開く。

「一番奥空いてますか?」

蓮司が店員に聞くと

「空いてます。」

そう言われると、一番奥の席に座り

「チャイラテを1つ」

と注文した。

(あいつ、チャイラテ好きだったもんな)

下を向いて、ふと微笑んだ。

チャイラテが運ばれてきた。

蓮司は初めてチャイラテを飲む。

(あまっ)

思わず吹き出しそうになった。

 

その時、誰かが立っていることに気が付いた。

「京香・・」

「蓮司」

こんなところで会えるなんて・・。

 

「一人できたの?」

蓮司が京香に聞いた。

「そうよ。あなたは?」

「ひとり。」

京香は目を合わせない。

「とりあえず座ったら?」

京香は別の席に座ろうとしたので

「一緒に話を少しだけしませんか?」

蓮司は京香に言ってみた。

京香は少しだけ間をおいて

「少しだけなら。」

そういうとチャイラテを注文した。

 

初めてプローズしてからもうすぐ4年。

【また今度ね】

その約束がこんな形になってしまったこと。

京香が笑顔でないことは一番蓮司が分かっていたこと。

 

【またね】という言葉。

俺は、今日言えるかな、彼女に・・。

 

一呼吸おいて、蓮司は京香の目を見た。

その目はとても優しかった。

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